・・・私は大きく息をのんだ…
困惑した私は、そっとその部屋に近づきドアごしに声をかけようとした、その時!!!
「あぁんっ・・・」
心臓が大きく躍った。
してる!!! セックスしてる!!
全身がガタガタ震えてきた。私はその場に立っていられなくなり、しゃがんだまま少しづつ後ずさりし、這うように階段を上った。
意識を必死で保ち、音を立てないように部屋に戻り布団をかぶった。
・・・今、咲子と小林が下でセックスをしている。
きっと私を起こさないように声を殺し、ゆっくりと腰を動かし、ねっとりとお互いの性器をすりつけあっている。
苦しい…胃が締め付けられる。急に涙が溢れてきた。
私は布団の中で震えながら、小汚い中年男との交尾を終えて帰ってくる妻を待った。
30分程度で…と思っていたが、結局、咲子が部屋に戻ってきたのは明け方だった。
そっとドアが開いたが、私が寝たふりをしていると、咲子は布団に入ることもなく、何か荷物をゴソゴソして、すぐに部屋から出ていった。
朝までセックスをしていたのか、小林に抱かれて一緒に寝たのか、のどちらかだ。もう後戻りはできない。私は妻をネトラレたのだ。その衝撃は想像以上だった。不思議にも怒りや憎しみ、悲しみ、悔しさなどはなかった。ただ信じられない、夢でも見ているようだった。
それから1時間くらいして、咲子が私を起こしにきた。
「あなたぁ。おはよぉ〜ごはんできたわよぉ」
「あっ。うぅん…」
今起きたようなフリをしたが、咲子の顔を見ることはできなかった。
いつもと変わらない咲子の様子に、ひょっとしてあの声は咲子じゃなかったのでは?夜中に小林の彼女がきて、今も朝食の席にいるかもしれない?と淡い期待にすがったが、そんなことは決してなかった。どのみち咲子は朝まで帰ってきていないのだ。
3人で一緒に朝食を食べた。とても喉を通らなかったが、私はいつも通り振舞う努力をした。もしかすると二人から、昨日はやっちゃいました的なサプライズ報告があるかも…とドキドキしていたがそれもなかった。私には隠すことにしたのだろう。ネトラレもショックだが、私だけ仲間外れにされたことの方が正直きつかった。
朝食後、小林家をあとにした。
帰宅後、咲子は家事を少しやってから昼くらいまで寝ていた。きっと徹マンで疲れた(突かれた)のだろう。時間とともに私の気持ちも落ち着いてきたが、冷静になって考えても状況がさっぱり見えない。一体どういう経緯で二人がパコることになったのか?
いくらドスケベの小林でも、夫婦で寝ている部屋から妻を強引に連れて行くなんて大胆なことはしないだろう。理由は分からないが、咲子は自分から小林の部屋にいっているはずだ。
咲子も多少ヤリマンではあるが、好きでもない男を自ら夜這いにいくほど、はしたない女ではない。しかも少し前に私とセックスをしているのだ。いや、まてよ…逆にそれでスイッチが入った可能性もある。あの時、私は興奮のあまり咲子を十分に満足させず、独りよがりで果てたのは確かだ。
しかし仮にそうだったとしても他人の家で満足するほど欲しがりはしないだろう…そもそも二人が交わったのは、本当に今日が初めてだったのか?今までは、そんな気配すらなかった。
ネトラレる妄想は今までに何度もしたことはあったが、実際に起こると納得のいかないことだらけだった。ひとつだけ確実に分かっていることは、咲子とあの男は必ずまたヤルということだ。